17/8/6

おじいちゃんが亡くなった。

おじいちゃんの方言が聞き取れなくて、毎年毎年お母さんとかの通訳を経て「夏休みいつまで?」「〇〇日までだよ」と会話をしていた。

大学一年生のとき、「祖父母に戦争のことを聞く」という小学校の課題みたいなレポート提出を課され、ちょっと照れながらお父さんに通訳を頼んで戦争の話を聞いた。おじいちゃんは、おばあちゃんとの馴れ初めも、空襲の話も、終戦の日のことも、びっくりするくらい日にちを正確に覚えていた。そのレポートのデータをぶっ飛ばしたのはたぶん、すごい、かなり、残念なことだ。おじいちゃんが入院したと聞いたときに、「あのデータ失くしたの、後悔しそうだな」って思った。今、後悔している。

おばあちゃんが嫁いだのは、雪の日だった。花嫁衣裳で、雪道を歩いておじいちゃんちに嫁いだ。その日に初めて会った。遠くであった、最後の空襲の音。住んでいる街に空襲はなかった。もしもあったら、防空壕なんてないから、近くの柿の木の下に集まるように言われていた。終戦のラジオは、音が割れていてあまり聞き取れなかった。

おじいちゃんは、「すぃがぐでが?」と聞いてきた。おじいちゃんの目はなぜか青色だった。お母さんに訊いたら、「歳だから」だと言っていたけど、あまりぴんときていなくて、私だけが青色に見えるんだと思った。おじいちゃんは、「スイカ食べたいか?」って言っていた。私は、お父さんに言われるまでわかんなくて、「食べる」って笑いながら応えた。

 

きっとおじいちゃんのことを一生のうちで一番考える日のはずだから、忘れないうちにメモしておく。

 

帰ってから色々ばたつく。親族に会うのは結構滅入る。しっかりしないといけない。弔うというか、きっとこれから暫く大変になる父母のために帰る。涼しい長袖を買って帰らないといけない。

 

ずっと生きていてくれたらいいのに。やっぱりちょっと哀しい。でも、大事なことは書き残したので、とりあえず行って帰って、やることをやる。